トーンカーブを使いこなす
トーンカーブとは?
写真の明るさや明暗の比率(コントラスト)を調節するためのものです。
「トーン」とは「調子」と言う意味で、写真では軟調~硬調などのような用語としても使われます。その「調子」を曲線を使って思い通りに調節できるのがトーンカーブです。
ヒストグラムを理解する
トーンカーブを使う前に理解しておきたいのが、トーンカーブの背景にある「ヒストグラム」と呼ばれているものです。「ヒストグラム」とは写真に含まれる明るさの分布をグラフで示したものです。
この情報を参考にするとトーンカーブの調整にも役に立ちますので、「ヒストグラム」の見かたを憶えましょう。
- 向かって右側が明るい部分
- 左側が暗い部分
- 山の高さが情報量(ピクセル数)
です。デジタル画像(8bit)で再現できる階調の範囲は
- 真っ黒は「R0, G0, B0」
- 真っ白は「R255, G255, B255」
となり、このRGB(赤緑青)3つの色の掛け合わせでカラーを表現しています。(約1600万色)
硬調なトーンカーブとその意味(S字カーブ)
トーンカーブを使用してS字のようなカーブを描くとコントラストの高い「硬調な写真」になります。
なぜそうなるのかを下図で解説していきます。
- 赤い線から上①は明るく補正された部分
- 赤い線から下②は暗く補正された部分
- 赤い線からの距離が「補正量」
となります。そのようにこのS字カーブを見ると
- もともと明るい部分①はより明るく補正
- もともと暗い部分②はより暗く補正
- 明暗の差がはっきりするためにコントラストが高くなる
また、白い線の角度がコントラストを示しています。
角度が45度より高い部分ではコントラストが強くなります。
- 中間調①ではコントラストが強い
- 暗部/明部②ではコントラストが低い
- 結果的にS字カーブでは中間調のコントラストが強くなります。
そのため、補正量が大きくなるに従って中間調のコントラストも強くなります。
S字カーブよるコントラスト調整作例
補正する明暗の比率を変える
S字カーブではトーンカーブの中心を動かすことで明暗の比率を変化させることができます。
暗く補正する部分の比率を増やした例
- 明るく補正された部分①
- 暗く補正された部分②
- 中心点を上に動かすと暗く補正される部分の比率が増える
明るく補正する部分の比率を増やした例
- 明るく補正された部分①
- 暗く補正された部分②
- 中心点を下に動かすと明るく補正される部分の比率が増える
明暗の比率を変えた場合の作例
中間調の明るさを調節する(ガンマカーブ)
写真の中間調の明るさを調節する場合にもトーンカーブを使うことがあります。
弓なりのカーブを描くと中間調を中心に補正するので、露出補正とは異なり明るい部分や暗い部分での明るさの変化が少ないのが特徴です。
厳密に言うと「ガンマ」の曲線は規定されていますが、一般的にこの中間調の明るさ補正のカーブをガンマカーブと呼ぶ場合もあります。
ガンマカーブによる作例
ハイライト/シャドーを調節する(レベル補正)
写真の黒を締めたり、白のヌケを良くし、コントラストを高めるにはレベル補正を行います。主に軟調な写真やねむい写真に対して調節します。
軟調な写真はヒストグラムを見ると
- 暗部に情報が少ない
- 明部に情報が少ない
- 中間調だけで構成された写真
が特徴となります。
レベル補正による作例
光線状態やハレーションなどにより軟調になってしまった暗部と明部の階調を調節し、コントラスト感を出します。