RAW現像実践編 ~モノクロ写真編~
インクジェットプリンターの性能が良くなってきたり、和紙などの用紙種類が増えたりしたことで、デジタルでのモノクロ写真にも注目が集まっています。色が無い分シンプルなだけに難しいと感じる方もいると思いますが、RAW FILE CONVERTER EX 3.0 powered by SILKYPIXにはモノクロ変換のための便利なテイストが搭載されているので、気軽にデジタルのモノクロ写真を楽しむこと事ができます。今回はモノクロ写真を仕上げるためのいくつかの方法をご紹介します。
デジタルカメラの設定をモノクロモードで撮影した場合でもRAW撮影ではカラーに戻すことができます。RAWデータは色になる前の光の情報で、デジタルでは現像時にカラー/モノクロを選択し、処理するからです。逆に、カラーで撮影されたものもカメラの設定を行うのと同じようにモノクロに変換できます。
ここでは2通りのモノクロ変換方法をご紹介します。
モノクロ変換方法1
カラーの中にあるフィルムシミュレーションを使ってモノクロに変換します。モノクロ用のカラーフィルターを付けたような効果がかかるいくつかのバリエーションもありますのでお試しください。
フィルムシミュレーションのモノクロフィルターの種類にはYe(黄色)、R(赤)、G(緑)があり、カラーの元画像に対して、指定したフィルター色の部分は明るくなります。また反対の色(補色)になる色は暗くなります。そのため、元々のカラー画像に応じてコントラスト感などが変わってくるのです。
この写真であれば、Rフィルターを指定した時、元々赤かったユリの花の雄しべはフィルターなしと比較して明るく再現されています。逆にGフィルターの場合は暗く再現されています。このように被写体に応じてお好きなモノクロの表現を選択してください。
モノクロ変換方法2
カラーの中にある彩度を「0」に設定することでもモノクロにすることができます。
この方法では完全なモノクロだけでなく、超低彩度でモノクロっぽい写真に仕上げたい時などにも使うことができます。
ホワイトバランス微調整をカラーフィルター代わりに使う
彩度0のモノクロ変換であっても、ホワイトバランス微調整を使うことでカラーフィルターのような効果を得ることができます。
ホワイトバランス微調整はカラーサークルをマウスでドラックして動かすことで、その色のカラーフィルターを付けたような効果を得ることができます。
※ここでは モノクロ変換方法1 で紹介したフィルムシミュレーションの「モノクロ+Gフィルター」を使用し進めていきます。
調子の調整を行う
調子とはモノクロのトーンを決めるもので、軟調(柔らかい調子)や硬調(硬い調子)などがあります。
- 軟調
- 明暗の差が弱くなり、柔らかな雰囲気になります。
- 硬調
- 明暗の差が強くなり、硬い雰囲気になります。
一番簡単な調子の設定方法はテイストを選択することで行うことができます。写真を見ながらお好きな調子をお選びください。
白いユリの花のしっとりとした質感を表現したければ、軟調気味の方が合うでしょう。逆に白さや鮮やかさを表現したければ硬調の方が合うかもしれません。このように、調子はモノクロ写真ではカラー写真以上に重要になってきます。
この写真では花びらの階調を残すため「超軟調」を選択しました。
さらに調子を細かく設定したい場合には、コントラストのスライダーで調節してください。
キーを設定する
「キー」とは「ローキー」や「ハイキー」などと呼ばれる中間濃度の設定となります。
- ローキー
- 主に暗い調子で構成された写真
- ハイキー
- 主に明るい調子で構成された写真
RAW FILE CONVERTER EX 3.0 powered by SILKYPIXでは調子の中にあるガンマで設定することができます。
ガンマを下げるとローキー気味、高く設定するとハイキー気味になります。
中間の濃度が変わることで、明暗の差も変わって見えてきます。ここでは背景や影を暗く表現したいため、ローキー気味に設定したものを選びました。
露出で全体を整える
最後に露出補正で明るくし、写真全体の明るさを整えました。
花の白の階調が残りつつ、濁りが取れるところでバランスを取りながら露出を決定しました。
調整前/調整後
中央のバーをスライドさせると、調整前と調整後の写真を切り替えることができます。
階調豊かで色を感じるモノクロ写真に仕上がりました。
もし黒がグレーに浮いてしまったら
曇天や逆光など光線の状態やレンズフレアの影響などにより、暗い部分がグレーに浮いてしまった場合には調子の中にある黒レベルを高めに設定してください。
黒レベルは黒を締める効果があります。