機能紹介

失敗しない写真印刷方法

RAW現像でこだわって写真の色を調整して、画面では納得のイメージに仕上げても、その画像をプリントすると画面で見た色と違ってプリントされてしまう。そんな経験がある方も多いのではないでしょうか?

その場合、プリントされた色を見ながら何回もRAW現像の調整をやり直さなければなりません。これではプリント用紙やインクも無駄になりお金もかかってしまいますし、画面通りの色で出てくれればしなくてよい作業(苦労)を行わなければなりません。しかもこの作業は決して楽しい作業ではないはずです。

そこでこの記事では「失敗しない写真印刷方法」と題してSILKYPIXからの正しい印刷設定方法や作品にあったインクジェット用紙を選ぶことで、さらにワンランク上のプリントを手に入れる方法や楽しみ方のポイントをご紹介します。


印刷設定が間違っていると

印刷設定を間違えると

  • プリントが暗くなる。
  • 色が濃くプリントされ塗りつぶされたように階調が無くなる。
  • 画面ではグレーに見える部分に色が付いてプリントされる。
  • 全体的にカラーバランスがおかしい。

などの症状が見られます。
プリントの色がおかしくなってしまう原因は一つではなく様々な事が想定されます。

例えば

  • プリントを鑑賞する環境が極端に明るい、または暗い。
  • 液晶モニターの設定が印刷に適していない。
  • SILKYPIXの印刷設定が間違っている。
  • プリンタードライバーの設定が間違っている。

などが挙げられます。

ここでは以下の項目を1つずつ確認し、違っていた場合は解決することで思い通りのプリントを実現するヒントとなればと思います。

  1. 液晶モニターとプリントでの色の原理の違い
  2. 環境光によるプリントの見え方の違い
  3. 液晶モニターの設定
  4. お使いのプリンターの種類
  5. 作品に合わせた用紙選び
  6. 正しいプリント方法

1.液晶モニターとプリントでの色の原理の違い

まず最初に液晶モニターとプリントではそれぞれ発色の原理が異なるため、完全に同じ色にはならない事を理解しておかなければなりません。

液晶モニターは自発光

液晶モニターはパネルの裏側にあるバックライトの光の強さ、いわゆる「透過光」により色を表現しています。また、色の成分としては「RGB(赤、緑、青)」の3色の掛け合わせにより色を表現しています。また3色掛け合わさった部分は明るく「白」として表現されます。

ここで重要なのが、液晶モニターは「自発光」するデバイスですので、そこに表示される画像の色や明るさは周囲の環境に左右されにくい特徴があります。例えば同じ画像を暗い部屋と明るい部屋で見た場合に、液晶モニターではほとんど同じ明るさに見えるのではないでしょうか?また、本体の設定で明るさや色合いを変えることもできます。

プリントは反射光

プリントはインクジェット用紙の上に印刷されたCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の大きさの違うインクの粒子により色を表現しています。3色掛け合わさった部分は暗く「黒」として表現されます。


2.環境光によるプリントの見え方の違い

プリントは「反射原稿」とも呼ばれており、プリントに当たる光を受けてそれを反射することで色を表現しています。

そのためプリントの明るさは、それを鑑賞する周囲の環境光に左右されます。

例えばプリントや写真に限らず雑誌や本などでも、紙の印刷物は暗い部屋で見ると暗く濁って見え、明るい部屋で見ると明るく鮮やかに見えます。

それだけでなく、電球の下で印刷物を見るとオレンジっぽく見えたり、最近では白っぽいLED照明の下で見ると緑っぽく見える場合もあります。

このように、プリントなどの印刷物と言うのは、それを見る環境光によって、明るさや色などの見え方が変わってしまうと言う特徴があります。

安定した環境光でプリントを見る

これまでの説明で分かるようにプリントを見る環境光をいつでもできるだけ同じ明るさや色合いに安定させる必要があります。そうなると「太陽光」は時間帯や天気によって明るさが大幅に異なるため、安定した環境光とは言えません。そこで一番お手軽な方法として以下をお試しください。

遮光された部屋の照明でプリントを見る

まずは明るさや色合いの変化の大きな外光を遮光カーテンや天戸などで遮光します。遮光できない場合は夜を待ってプリントするのも一つの方法です。そうすると部屋が暗くなると思いますので部屋の照明を点けてください。この時部屋の照明は蛍光灯をおすすめします。本来は日中の太陽光に近い、色評価用の「高演色性蛍光灯」が理想なのですが、これは直管式しかありません。

一般的なご家庭の丸形シーリングライトの場合には、その次に太陽の色味に近い「昼白色」蛍光灯をお使いください。(各社緑色のパッケージの場合が多いと思います。)

また、天井が高くて部屋が少し暗い場合などは、卓上ライトスタンドなどを使い、その下でプリントを見るのも良いと思います。

とにかく「いつでも一定の明るさと色合いでプリントを見る環境」を工夫して作ってみてください。

※ご家庭の照明器具に使われているLEDは色温度とは別に光の中に含まれる色の成分に偏りがあり、プリントを見た時に特定の色が濁ったり、逆に強調されてしまうことがあります。その場合は蛍光灯の卓上ライトスタンドをお使いください。


3.液晶モニターの設定

プリントを見る照明環境が整ったところで、液晶モニターの設定を行います。プリントと液晶モニターを見比べる場合には「モニターキャリブレーション」と呼ばれる専用の測色器を使いモニターの色や明るさを印刷用の基準に合わせる必要があります。このモニターキャリブレーションは別途記事「モニターカラーマネージメントとは?~Spyder5PROの使い方~」で詳しく紹介していますのでそちらをご覧ください。

簡易的なモニター設定

モニターキャリブレーションの測色器は比較的高価であることと、画像編集用の液晶モニターであることが望ましいため、液晶モニターの設定だけで行う簡易的な方法をご紹介します。

照明の明るさや色合いは簡単に変えることができないので、液晶モニターに付いているボタンなどからメニューを表示し設定(※1)を変更して「画面に表示される白」と「使う用紙の白」の明るさと色合いを近付ける必要があります。基本的な考え方として、「液晶モニターの白」と「用紙の白」があまりにも違いすぎていると画面とプリントの色は近づきません。

※1 液晶モニターの設定は各社メーカー異なりますので取扱説明書などをご覧ください。

手順1)
SILKYPIX Developer Studio Pro8/8の背景色を「白」に変更します。

プレビュー画面の余白部分で右クリックをし、表示されたメニューの[背景色]から[白]を選択するとプレビュー画面の背景が白くなります。

手順2)
使用するインクジェット用紙を液晶モニターの横に並べ、プレビュー画面の白と見比べます。インクジェット用紙は透けないように2~3枚重ねておくのがおすすめです。

手順3)
液晶モニターの「色温度設定」から用紙の白の色合いに一番近いものを選択します。(色温度設定が無い液晶モニターの場合には省略するかキャリブレーションしてください。)

手順4)
液晶モニターの明るさ設定を変更し、用紙の白の明るさに近くなるように調整してください。

手順5)
完了したらSILKYPIX Developer Studio Pro8/8の背景をお好みのものに戻して完了です。


4.お使いのプリンターの種類

プリントを行う前に、お使いのプリンターの種類を確認しておきましょう。

インクジェットプリンターのインクには大きく分けて

  • 染料インク
  • 顔料インク

の2種類があります。

それぞれの特徴は

染料インク

用紙に染み込んでいくタイプのインクです。用紙のコーティング層の下に染み込んでいくため、光沢紙などでは用紙の持つ光沢感を活かすことができます。

ただし、プリントの色が定着するまで時間がかかるため、液晶モニターとプリントを見比べるのには最低12時間以上経過してからにしてください。

顔料インク

用紙に染みにくく、用紙の上のインクの粒が乗るタイプです。光沢紙などでも上品で艶を抑え落ち着いた仕上がりになります。

インクが定着するまでの時間が早いため、プリントしてすぐに液晶モニターと見比べることができます。また、後でご紹介する「アート紙」と呼ばれる画材系のインクジェットプリント用紙の対応も充実しているのも特徴です。


5.作品に合わせた用紙選び

「写真用紙」と言うと「光沢紙」を思い浮かべる方も多いのではないかと思います。銀塩写真の頃からRCペーパーと呼ばれるいわゆるレジンコートされた印画紙が一般的に使われていた事もあると思います。しかし、インクジェットプリントでは使える用紙の種類も画材用紙のような「アート紙」や日本にも古くから伝わる「和紙」など、写真の絵柄や作品の内容に合わせた紙を選ぶことができるようになりました。また、同じ光沢系の用紙でも光沢感や絹目っぽい用紙などのいわゆる「面質」も銘柄によって様々です。写真展などに作品を飾る時には特に「紙の質感」と「作品の内容」を検討してみてはいかがでしょうか。

 

純正用紙以外を使うと選択肢も広がる

プリンターメーカーと同じメーカーの用紙、いわゆる「純正用紙」を使うのも良いのですが、用紙メーカー製のものは、純正の紙とは異なる面質や特徴を持ったものも数多くあり、それを使うことで同じ写真でも一味違った写真をプリントすることができます。

様々な用紙を使った展示の例

今回は、その用紙メーカー製の紙の中から「SIHL」を使ってご紹介させていただきます。

SIHLについて

SIHLと書いて「シール」と読みます。500年前にスイスチューリッヒを流れるSIHL川沿いに建てた製紙会社をルーツに1935年原型が設立され、ドイツとスイスに生産拠点を構え現在では200品目ものインクジェット製品を作る世界一の老舗コーティングメーカーです。

日本ではアガイ商事株式会社が販売代理店となっており、同社のWEBサイトからICCプロファイルの提供も行なっています。

今回はその中から「シール お試しパック(光沢&ラスター4種 A4)」をご紹介します。通常の製品では1種類につき25枚入りで販売されているものが4種類、各3枚ずつ入ったものです。自分の写真に合うかどうか試すことができるので、ぜひ使ってみてください。

 

用紙の種類と選びどころ

全ての用紙に共通する用紙選びのポイントは以下をチェックしお好みのものを選んでください。

  • 紙厚・・・作品の平面性や耐久力などに影響があります。
  • 白度・・・紙の白の種類(青っぽいか生成りっぽいかなど)
  • 面質・・・光沢やマット系など紙の表面のテクスチャー

”面質”の違いによる特徴について

■光沢(グロッシー)
高いコントラスト感と締まった黒による鮮やかな発色が特徴です。展示方法によってはその艶で作品が見難くなってしまう場合があるので注意が必要です。

■絹目(ラスター)
艶を抑えた上品な面質が特徴です。光沢紙の持つ鮮やかさとマット紙の持つ落ち着いた雰囲気を併せ持っているため、最近では使っている方が増えています。展示においても艶による写り込みが少なく使いやすい用紙です。

■マット紙
艶の無いマットな面質の用紙です。光沢紙と比べて若干鮮やかさは落ちますが優しい雰囲気を持った写真に仕上がります。黒の濃度は低いもののマットな面質は光を反射しないため、スポットライトなどで展示すると思いの他暗部は締まって見えるようになります。

■アート紙
テクスチャーのある面質を持った用紙です。「アート紙」の種類には画用紙のようなものや、油絵のキャンパスのようなもの、パールやメタリック素材のものなど様々な種類があります。自分の作品がどのようにプリントされるのか楽しみな用紙です。

■和紙
繊維質でしなやかな面質が特徴です。繊維質なため多少の滲みが見られますが作品によってはそれが味になったり、滲みによってグラデーションが綺麗に再現されることもあります。和紙にはインクジェット用の「コーティングあり」のものと「コーティングなし」のものがあります。「コーティングあり」のものの方が滲みも少なく品質も安定しているので初心者にはおすすめです。


6.正しいプリント方法

画像データを正しくプリントする際には、プリンターや用紙の特性に合わせた色変換の設定を行う必要があります。大きく分けて2種類のプリント方法があります。プリンター設定が間違っていると画面と全く違う色でプリントされますので注意してください。

2種類のプリント方法

プリントの方法には大きく分けて2種類の方法があります。

A:プリンター側で色変換する方法

B:SILKYPIX側で色変換する方

 

A:プリンタードライバー側で色変換して印刷する

プリンタードライバー側で色変換を行った場合の印刷結果は、プリンターメーカーの色作りに対する考え方が出ます。そのため、色によっては液晶モニターに表示されたものとは多少異なる場合があります。しかし、それはプリンターメーカーが「好ましい」と思う色作りなので、皆様が気に入った場合はこちらをお使いください。

印刷設定

  1. 印刷設(SILKYPIX)

「プリンター側でカラーマネージメント」を選択することで、SILKYPIX側の色変換をオフにすることができます。

  1. メニューバーから「印刷」を選択すると印刷のウィンドウが開きます。
  2. 設定タブから「拡張設定1」を選択します。
  3. SILKYPIX/プリンターのどちらで色変換を行うのかを決定します。ここでは「プリンター側でカラーマネージメント」を選択します。
  4. プリントするカラースペース(sRGB/AdobeRGB)と同じ色空間を選択します。

 

2.プリンタードライバーの設定~印刷

プリンターを選択します。

  1. 設定タブから「基本設定」を選択します。
  2. 「プリンタ設定ボタン」を押すとプリンターの設定ウィンドウが表示されます。
  3. プリンター名から使用するプリンターを選択します。
  4. 「プロパティボタン」を押すとプリンタードライバーの設定画面が表示されます。

  1. 使用する用紙の種類を選択してください。
  2. 「きれい」や「高精細」を選択してください。
  3. 色補正(EPSON)、色/濃度(Canon)
    EPSON:「EPSON基準色(sRGB)」、「AdobeRGB」のどちらからか、現像設定と同じものを選択してください。
    Canon:マニュアル調整から「設定」ボタンを押し画像の色空間がsRGBの場合は「ドライバー補正」を選択、AdobeRGBの場合は[ICM]([ICCプロファイル補正])を選び、[マッチング方法]で[知覚的]を選択。
  4. OKボタンを押してSILKYPIXの印刷設定画面に戻り「印刷開始」ボタンを押すと印刷が始まります。

※SIHL(シール)のインクジェット用紙を使いプリンタードライバー側で色変換する場合の用紙設定は、面質が近い純正用紙のものをお使いください。

B.SILKYPIX側で色変換して印刷する(ICCプロファイルを使ったプリント)

プリンタードライバーをインストールすると同時に「プリンタープロファイル」と呼ばれるICCプロファイルも同時にパソコンにインストールされます。このプリンタープロファイルをSILKYPIXで指定してプリントする方法です。RGBデータをできるだけ忠実に再現できるため液晶モニターと色が近くなります。(※)

※液晶モニターがカラーマネージメントされている場合。

また、プリンターメーカーの純正用紙以外のメーカーの紙を使用する場合、用紙メーカー側でその紙に合わせたICCプロファイルを配布している場合もあり、用紙の選択肢も広がります。

  1. 印刷設定(SILKYPIX)

「カラーマネジメントを行う」を選択することで、SILKYPIX側で色変換を行う設定となります。

  1. メニューバーから「印刷」を選択すると印刷のウィンドウが開きます。
  2. 設定タブから「拡張設定1」を選択します。
  3. 「カラーマネージメントを行う」を選択します。(SILKYPIX側で色変換を行う設定です。)
  4. 「現像パラメータの設定に従う」を選択します。(画像に設定されているカラースペース(sRGBかAdobeRGB)が採用されます。)
  5. 使用する「プリンター名+用紙名」のプリンタープロファイルを選択します。(用紙名が光沢紙=GやGL(Gloss)、絹目調=SG(Semi Gloss)、マット紙=MP(Matte Photo Paper)のように省略されて表記されている場合もあります。)このプリンター純正用紙のプロファイルはプリンタードライバーをインストールした時に同時にインストールされます。
  6. 写真の印刷では一般的に「知覚的」か「相対的な色域を保持」が使われます。

※SIHL(シール)のICCプロファイルは日本国内販売元である「アガイ商事」のWEBサイトからダウンロードすることができます。

ダウンロードしたZIPファイルを解凍し、ICCプロファイルを選択した状態で右クリックしてメニューを開きます。その中にある「プロファイルのインストール」をクリックするとパソコンの中の所定の場所にSIHLのICCプロファイルがインストールされます。SILKYPIXはソフトウェアの起動時にICCプロファイルを参照するので、SILKYPIXが起動中に新しくICCプロファイルインストールした場合にはSILKYPIXを再起動してください。

  1. プリンタードライバーの設定~印刷

プリンターを選択します。

  1. 設定タブから「基本設定」を選択します。
  2. 「プリンタ設定ボタン」を押すとプリンターの設定ウィンドウが表示されます。
  3. プリンター名から使用するプリンターを選択します。
  4. 「プロパティボタン」を押すとプリンタードライバーの設定画面が表示されます。

  1. 使用する用紙の種類を選択してください。
    ※SIHL(シール)のインクジェット用紙をお使いの場合はお使いの用紙に対応した純正用紙を選択してください。用紙の対応表こちらです。
  2. 「きれい」または「高精細」を選択してください。
  3. 色補正(EPSON)、色/濃度(Canon)
    EPSON:オフ(色補正なし)
    Canon:マニュアル調整から「設定」ボタンを押し、「マッチング」タブの中の色補正を「なし」にします。
  4. OKボタンを押してSILKYPIXの印刷設定画面に戻り「印刷開始」ボタンを押すと印刷が始まります。

最後に・・・

折角SILKYPIXで満足の行く写真調整をしたのに、いつも調整した通りのプリントに仕上がらずにストレスを感じる方も少なくないと思います。

難しく思われがちな印刷設定も一度きちんと理解をしてしまえばそれほど難しいものではありません。いつでも思い通りにプリントができるようになり、楽しい写真ライフをお過ごしください。

ここで紹介した“失敗しない写真印刷法”が、みなさまの写真プリントの一助になれば幸いです。