今回は星空写真家 成澤 広幸氏による星景写真(星空と風景を一緒に写した写真)の基本的な撮影方法、RAW現像についてご紹介いただきます。
星空撮影には「光害」という環境問題が関係してきます。光害とは、「人工的な光が強すぎて自然環境に影響を及ぼす」というもので、星空撮影では「街の明かりが強すぎて星空が見えなくなる」という影響があります。完全に光害がゼロの場所は、日本国内では限られてきます。そんな中、日本国内で星空を表現する為には「RAW現像」が強力なサポーターとなります。余計な光の影響を軽減し、淡く写っている星空を強調することで、より説得力のある星景写真へと仕上げることができます。
星景写真の撮影方法とRAW現像
【撮影方法】
・基本機材
カメラ、レンズ、三脚、レリーズ、撮影時に使用する暗いライト(天体観測用ライト)、レンズヒーター、赤道儀(あれば)
・カメラの設定 (撮影場所の明るさ(光害の状況)によって設定が変わります。)
例えばこの写真の場合(RAW現像してます)
撮影モード:マニュアル
シャッター速度:30秒
絞り:2.8
ISO感度:6400
ホワイトバランス:オート
星を軌跡で表現する場合 (連続撮影した180枚の写真をRAW現像した後にフリーソフトStarstaxで比較明合成処理。)
撮影モード:マニュアル
シャッター速度:6秒x180枚 合計露出時間18分
絞り:f4
ISO感度:400
ホワイトバランス:蛍光灯
【星景写真のRAW現像】
・調整例1
①ホワイトバランスを整える
『グレーバランスツール』で星空をクリックしホワイトバランスを決めます。クリックする場所によって色合いが変わります。星空は基本ニュートラルグレーにしますが、そこまでこだわらずに皆さんの好みの色合いを探してみてください。
②星を表現する
少しもやっとしている星空をコントラストや明瞭度、かすみ除去を使ってくっきりさせます。
③ノイズ除去を下げてさらに星を表現する
ノイズ除去により星も消えてしまう場合があります。そこでノイズ除去の効果を下げて星を表現します。ただし下げ過ぎるとノイズも出てきてしまうのでそこのバランスを見て調整します。
天の川の色を強調するために彩度を少し上げて完成です。
・調整例2
①星空の色合いを調整
まずは調整例1と同様に調整していきます。
②少しずつ天の川が強調されてきましたがもう少し強調させたいので部分補正を使います。
ブラシで範囲を天の川に指定し、明るさとコントラストを調整することで天の川を強調させました。
③手前の景色を表現する
手前の棚田が暗いので部分補正の段階補正ツールで棚田の部分だけ範囲指定し明るくします。
最後に…
RAW現像ができるようになると、失敗写真を救い出すことができたり、良作品をさらに良い作品に仕上げることができます。ぜひ星空の撮影と一緒にチャレンジしてみてください。
1980年5月31日生まれ。北海道留萌市出身。星空写真家・タイムラプスクリエイター。会社員として勤務しながらも精力的に撮影をこなし、カメラ雑誌・web・SNSで作品を公開。全国各地のカメラ専門店・量販店で星空撮影セミナーを多数開催。カメラ雑誌・webマガジンなどで連載を担当。2018年12月15日に著書「成澤広幸の星空撮影塾」を出版
ホームページ:https://www.hiroyukinarisawa-photography.com/
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