まめ知識

RAW現像をはじめてみよう ~RAWモードで撮影しよう編~

自分で撮影した写真を綺麗に仕上げてみたい方やRAW現像をはじめてみたい方に、誰でも簡単に高画質な写真の編集ができるRAW現像についてご紹介します。

ご紹介に使用するソフトは汎用RAW現像ソフト「SILKYPIX」です。SILKYPIXシリーズはデジタルカメラで撮影された「RAWデータ」、「JPEGデータ」を高画質に編集し、美しい写真に仕上げる事のできる純国産の写真編集ソフトです。

SILKYPIXシリーズはインストール後30日間は無料ですべての機能を試用できます。ぜひダウンロードしてみてください。ダウンロードはこちら

 


写真をプリントやWEB用のデータなど作品として発表する前に、写真の明るさや色合いなどをソフトやアプリで調整する方も多いのではないでしょうか。

デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラ、一部のハイエンドコンパクトデジタルカメラの記録形式(フォーマット)は、一般的な「JPEGデータ」と並んで「RAW(ロウ)データ」を記録することができます。シャッターをきることで、SDカードなどメモリーカードに保存されたJPEGとRAWデータについて、パソコンの編集ソフトで調整して仕上げた場合に、どのような違いが生じるのかをまずは見てみましょう。

調整前の画像

写真の明るさや色合いを調整することで一見写真の見栄えは良くなります。しかし、一般的なJPEGデータでのフォトレタッチでは調整により画質の劣化を伴います。そのため、調整すればする程見栄えとは引き換えに写真本来の持つ「階調性」や「精細感」などリアリティが失われ、不自然な仕上がりになってしまう問題があります。

JPEG画像をフォトレタッチソフトで調整

そこで、「RAWデータ」の出番です。

「JPEG」が汎用性の高い、主に閲覧用のデータであるのに対してRAWデータは画像調整に適した情報量の多いデータです。そのため写真の調整をおこなっても画質の劣化がほとんど無く、仕上がり(見栄え)と画質の両立が可能なことから近年では多くの写真家がRAWモードで撮影しています。

RAWデータをRAW現像ソフトで調整

RAW現像をおこなうためには、カメラの設定をRAWモードにして撮影する必要があります。

 

■カメラの画質設定をRAWモードにしてみよう

カメラの「画質設定」などの項目にJPEGの記録画質と並んで「RAW」が選択できます。画質設定のメニューはカメラによって異なりますので、ご不明な方はお使いのカメラの取扱説明書などを参考に「RAW」モードで記録できるように設定してみてください。ここでは例としてFUJIFILMのX-T3の例をご紹介します。

FUJIFILM X-T3の例

「JPEG+RAW」や「RAW同時記録」などの設定項目に設定すると通常のJPEGデータに加えてRAWデータも記録できるようになるので、初心者の方にはおすすめです。1回シャッターを切ることでJPEGとRAWデータの2種類のデータを保存することができます。

 

■RAWモードでの撮影について

JPEG撮影ではカメラの「イメージセンサーから出力されたデータ」がカメラ内部に搭載されている画像処理エンジンでJPEGに変換されメモリーカードに保存されます。

JPEG撮影の場合

実は「イメージセンサーから出力されたデータ」とは「RAWデータ」のことで、それがカメラ内でRAW現像処理されてできたJPEGをSDカードなどのメモリーカードに保存していくのがJPEG撮影です。JPEG撮影でもカメラの内部ではRAWデータが使われています。

それに対しRAW撮影では「イメージセンサーから出力されたデータ」がほとんどカメラ内で画像処理されずそのままメモリーカードに保存されます。

RAW撮影の場合

そのイメージセンサーのデータがいわゆる「RAWデータ」です。「画像処理がされていない未加工な生データ」という意味で英語の「生」から「RAW(ロウ)」データと呼ばれるようになりました。JPEGの情報量が閲覧に適した8bitなのに対してRAWは写真編集に適した12~14bitの豊富な情報量を持っています。

RAWデータを記録するRAWモードでの撮影なら、その情報量を最大限活用することで高画質な写真の編集をおこなうことができます。また、JPEG撮影時にはカメラ内で自動におこなわれていたRAW現像を、後からRAW現像ソフトを使って、自分でおこなうことができるようになります。RAW現像ソフトで明るさや色などを調整した後は、RAWデータをJPEGに変換することで一般的な画像として扱うことが可能です。

カメラ内の画像処理

RAWデータやRAW現像ソフトの画像処理についてもっと詳しく知りたい方はこちら

 

■JPEG編集とRAW現像での画質の違い

JPEGでのフォトレタッチとRAW現像でできることはよく似ています。例えば以下の基本調整

  • 明るさの調整
  • 色合いの調整
  • コントラストの調整
  • シャープネスやノイズリダクションの設定

などはどちらでも調整可能です。

しかし、これらの調整項目において、JPEGでのフォトレタッチよりRAW現像の方がきれいに仕上げることができます。それではいくつかの項目で違いを見ていきましょう。

 

暗い写真を明るくした例

暗く撮影された写真を、JPEGとRAWでそれぞれ調整し、画質劣化や階調性の違いを比較します。

暗すぎる写真

▼JPEG画像をフォトレタッチ

JPEG画像をフォトレタッチ

空の部分でグラデーションのつながりが悪く縞状になってしまっています。これはヒストグラムを確認すると櫛状にデータが間引かれた状態で画質が劣化している事でも確認できます。また、水平線に近い部分の色相(色合い)も水色に変化し、不自然な感じがします。

▼RAWデータをSILKYPIXでRAW現像

RAWデータをSILKYPIXでRAW現像

空の部分でグラデーションのつながりも良好で写真全域で写真本来の階調性を保っています。ヒストグラムで見ると滑らかに繋がっているのが確認できます。色のつながりも色相がずれることなく良好な状態を保っています。

デジタル写真の階調(グラデーション)についてもっと詳しく知りたい方はこちら

 

色合いを調整した例

はじめにこちらのライブで赤い照明による強い色かぶりを補正してみます。調整結果の色が写真としてふさわしいかどうかは別として色かぶりがどれだけ自然に補正できるかの検証です。JPEGでのフォトレタッチでは「カラーバランス」、RAW現像では「ホワイトバランス」で調整しています。

照明の色に影響を受けた写真

▼JPEG画像をフォトレタッチ

JPEG画像をフォトレタッチ

明るい部分や暗い部分では色かぶりが補正しきれず、赤や青にシフトしてしまっています。また、肌色なども色が抜け不自然な仕上がりになってしまっています。

▼RAWデータをSILKYPIXでRAW現像

RAWデータをSILKYPIXでRAW現像

写真全体で良好なカラーバランスを保ったまま自然に色かぶりが補正できています。RAW現像でホワイトバランスを調整することで、カメラのWB設定を撮影時に変えたのと同等の結果を得ることができるため、補正による階調の破綻が少ないのが特徴です。

もう一つ例を見てみましょう。

例3

左側が補正前の状態です。電球による色かぶりが強く、白い花が黄色く写ってしまっています。この色かぶりをフォトレタッチソフトで結構時間をかけて調整してみたのですが、真ん中の例のように、明るい部分ではマゼンタ、暗い部分で青の色づきが発生しなかなか思うように仕上がりませんでした。

一方右側のRAWデータではホワイトバランスを合わせるだけで自然で高画質に仕上がっています。RAW現像では「誰でも簡単な調整で高画質が手に入る」という一例です。

写真におけるホワイトバランスについてもっと詳しく知りたい方はこちら

 

■JPEG撮影とRAW撮影のメリット・デメリット

ここでJPEG撮影とRAW撮影のメリット・デメリットの一部をご紹介します。

JPEG撮影

メリット

  • 撮影後にすぐにパソコンのOSで閲覧できる。
  • データが軽いために撮影可能枚数が増える。(メモリーカードに記録できる枚数)
  • データが軽いため、連続撮影枚数が増える。(バッファに入るまでの枚数)

デメリット

  • シャッターをきる前に、撮影したいシーンを予測しカメラの設定をおこなう必要がある。
  • 動体などシーンによってはカメラ設定を行う時間の余裕が無い場合もあり、カメラ操作の習熟が必要。
  • カメラに不慣れであるとカメラの設定に気を取られてシャッターチャンスが疎かになりがち。
  • 撮影したJPEGを写真編集で調整すると画質が劣化してしまう。

RAW撮影

メリット

  • RAW現像時に写真を調整しても画質の劣化がほとんど無い。
  • 撮影後にパソコンの画面を見ながら写真に合わせた最適な設定を時間をかけて行うことができる。
  • カメラの細かい設定を減らし、RAW現像時に行うことでファインダーや被写体に集中できる。

デメリット

  • パソコンで開くためにはRAW現像が必要。
  • データが重いため、撮影可能枚数が少なくなる。(メモリーカードに記録できる枚数)
  • データが重いため、連続撮影枚数が少なくなる。(バッファに入るまでの枚数)

RAW撮影の最大のメリットは従来JPEG撮影ではカメラのメニューでおこなっていた各種設定を、後からRAW現像時におこなうことで、カメラの設定をできるだけ減らすことができます。その分シャッターチャンスに専念して、まずは良い(納得のいく)写真を撮っていただければと思います。そしてその良い写真を美しく思い通りに仕上げるのがRAW現像ソフトの役割になります。

※RAW撮影ではカメラの設定は適当で良いのか?

上述した説明だけを聞くとRAW撮影時、カメラの設定は適当で良いと誤解を招く可能性があるので補足します。

結論から申し上げると、皆様の技量や撮影条件に応じてできるだけ撮影時の仕上がりに近い状態のカメラ設定にしておくことが理想です。デジタルカメラは撮影後すぐに背面液晶で撮影結果を確認することができます。例えばスナップの組写真などでは撮影後、液晶に表示された写真を見て次の撮影に必要なカットを現場で決めていく場合があります。その場合は撮影時の色合いや明るさなど、写真の雰囲気が仕上がりに近い方がイメージを掴みやすいのではないでしょうか?

また、風景写真でもフィールドの印象が一番強く残っているのが撮影時だと思います。シャッターチャンスを待つ間にカメラの設定を追い込む時間もある場合が多いのではないでしょうか?撮影の現場でそのシーンに合わせたカメラ設定を探すのも楽しいものです。これらの場合はパソコンで写真を開いて気になった部分だけをRAW現像時に調整すればよいと思います。

ただ、シーンによってはある程度最初からRAW現像での調整を前提に撮影をおこなう場合もあります。

例えば、結婚式や舞台など、照明の色や明るさが頻繁に変わるシーンでは瞬時にカメラ設定をおこなうのが難しい場合があります。また、人物やモデル撮影などでは表情を引き出すためカメラの設定よりも、人物とのコミュニケーションや表情の変化に気を遣った方が良い場合もあります。

ファインダーに集中

このような場合、多少設定がイメージと異なっていてもRAW現像でできることを知っていれば、補正後の仕上がりを想像しながら撮影をおこなうことができます。

RAW現像で調整

あくまでRAW撮影はJPEG撮影と並んで皆様が用途に合わせて選択できる撮影手段の一つであり、選択肢が増えることは良い写真を撮影するうえでも、写真を楽しむうえでも良いことなのではないでしょうか?

まだ、RAWで撮影したことの無い方もぜひ一度RAWで撮影していただきたいと思います。

 


■SILKYPIXとは

SILKYPIX Developer Studio Pro11

「SILKYPIX Developer Studio」はデジタルカメラで撮影されたRAWデータから、思い通りの高品位な画像を現像するソフトです。パソコンの強力な演算能力を使用して、どこまで高品位の映像を得ることができるかを考え、今まで諦めていたデジタルカメラ特有のデメリットを解消しました。例えば、高彩度色境界における不自然なエッジ、微細構造部分に乗る偽色、高感度撮影における色ノイズなどを徹底的に抑制し、高解像度と高い色分離性能を両立させています。 目指しているのは、絹のような滑らかで自然な映像、SILKYPIXの名前の由来はそこにあります。