まめ知識

デジタルカメラのノイズとノイズリダクションについて

近年では三脚を使用できない撮影場所が増えており、高ISO感度で撮影せざるを得ない場面が増えてきているかと思います。その際に気になるのがノイズです。この記事ではデジタルカメラで発生するノイズの種類や発生条件とその緩和方法などをご紹介します。

デジタルカメラのノイズとノイズリダクションについて

最初にお伝えしたいことは、たとえ低ISO感度であってもデジタルカメラのデータにはノイズの成分が含まれていて、ノイズリダクションなどの画像処理によって見えない状態になっているということです。

RAW現像ではその「ノイズリダクション」をカメラの画像処理回路よりも高性能なパソコンのCPUを使うことで、より高度なノイズ除去性能を発揮することができます。それでは、まずはノイズの種類について見ていきましょう。

 


■ノイズの種類や発生条件とその対処方法

偽色(ぎしょく)

カラーノイズや色ノイズとも呼ばれている「偽色」は、被写体には存在しない赤や青、緑などのピクセルの色づきがランダムに発生する現象のことをいいます。

・色ノイズ(カラーノイズ)

デジタルカメラのISO感度を高く設定した場合に赤や青、緑といった色のついたピクセルが目立つことがあります。

色ノイズ

CMOSやCCDなどのイメージセンサーに通電された時(シャッターを切った時)にランダムな斑模様として発生するため「ランダムノイズ」と呼ばれる場合もあります。よく見ると画面全体を覆うように広い範囲で発生しているので、大伸ばしプリントをする際などに嫌う方が多くいらっしゃると思います。

この色ノイズは、SILKYPIX Developer Studioシリーズ(以下、SILKYPIXシリーズ)をお使いの場合、「ノイズリダクション」の中にある「偽色抑制」パラメータを高く設定することで緩和することができます。

偽色抑制

また、SILKYPIXシリーズの初期設定値は、撮影時のISO感度やイメージセンサーの特性によって変化する「ダイナミックデフォルト」を採用しているので、RAWデータを開いた際にある程度適切な効果がかかっています。但し、RAW現像時に露出補正で写真を明るくした際に、ノイズが目立ってくることがあるのでその場合は任意で調整してください。

偽色抑制後

偽色抑制で色ノイズを緩和した例です。赤や青、緑のピクセルの色づきは無くなりましたが、偽色を除去した部分に無彩色のざらつきが発生しています。これは「輝度ノイズ」と呼ばれており、後ほど詳しくご紹介します。

・モアレ

主に被写体の高密度な部分で赤や青、緑などの色づきが発生するノイズを「モアレ」と呼びます。モアレは細かい構造を持った被写体を撮影した場合に発生します。また、ISO感度に因らず低感度でも発生します。

モアレ発生

その中でも周期パターン状に並んだ被写体の部分で縞状に発生する偽色は「色モアレ」とも呼ばれています。

SILKYPIXシリーズでは、色ノイズ同様に色モアレは「ノイズリダクション」の中にある「偽色抑制」パラメータを高く設定することで緩和させることができます。

モアレ抑制

偽色抑制で除去しきれなかった色モアレについては「モアレ軽減」にチェックを入れることで緩和させることが可能です。

モアレ抑制後

偽色抑制で色モアレを緩和した例です。ノイズが除去されただけでなく被写体本来のディテールが再現されています。

・偽色抑制の副作用

色づきを緩和してくれる「偽色抑制」ですが、下記副作用に注意し、必要最低限で使用することをお勧めします。

▼部分的な彩度の低下

偽色抑制による彩度低下

暗部でRGBなどの原色に近い部分の色の彩度が低下する場合があります。

 

輝度ノイズ

偽色抑制で色ノイズ(カラーノイズ)を除去した後に残留する無彩色のざらつきは「輝度(きど)ノイズ」と呼ばれています。

輝度ノイズ

輝度ノイズは必ずしも完全に除去しなければならない訳ではなく、高ISO感度撮影の雰囲気を出すため粒状感をあえて残したり、ざらつきによるレトロでワイルドな雰囲気を演出するために残してある写真作品も多く存在します。また、A4以下に小さくプリントする際、縮小されることで目立たなくなる場合もあります。

SILKYPIXシリーズでは、輝度ノイズに対し「ノイズリダクション」の中にある「ノイズ除去」パラメータを高く設定することで緩和させることができます。

ノイズ除去

また、SILKYPIXシリーズの初期設置値は撮影時のISO感度やイメージセンサーの特性によって変化する「ダイナミックデフォルト」を採用しているので、RAWデータを開いた際にある程度適切な効果がかかっています。そのため、粒状感を残したい場合などは初期値よりも低く設定することをお勧めします。

ノイズ除去適用後

「ノイズ除去」で輝度ノイズを緩和した例です。高ISO感度特有の粒状感を緩和したい場合は、下記副作用に気を付けながら必要最低限で適用することをお勧めします。

・ノイズ除去の副作用

ノイズ除去では粒状感やざらつきなどの輝度ノイズを緩和させることができますが、過度に使用すると解像感が低下する場合があります。

ノイズ除去による解像鑑低下

このように、ノイズ除去の効果と写真の解像感はトレードオフ(反比例)の関係にあるため、この2つのバランスを見ながら設定をおこなう必要があります。また、高ISO感度で撮影した写真をSILKYPIXで開いた際に、画が甘い(解像感が低い・画がぼやけて見える)と感じた際にはノイズ除去を下げると改善する場合があるのでお試しください。

 


■ノイズの発生メカニズムについて

イメージセンサー上で発生する「アナログ回路でのるノイズ」

「デジタルカメラなのにアナログ?」と思った方もいらっしゃるかと思いますが、ノイズはイメージセンサー上で「電荷」が「データ」に変換される前に混入します。下図はイメージセンサーの概念図です。

アナログ回路でのるノイズ

①フォトダイオードによる光から電荷への変換

カメラのレンズを通ってきた光はマイクロレンズとカラーフィルターで画素に分解され、①のフォトダイオードと呼ばれるセンサーでその光の強さが電気信号に変換されます。その際、仮に100の光をフォトダイオードに当てたとしても、実際に取り入れた光の量は99だったり、101だったりと画素ごとに異なる揺らぎがあります。この揺らぎは「光ショットノイズ」と呼ばれており、特に暗部ではその影響が大きくなる傾向にあります。

②センサー上での電気信号の伝送

電気信号はセンサー上の伝送路を通じ③のAD変換器に転送されます。この段階ではデータはまだ電気信号(アナログ)の状態なので外部からのノイズの影響を受けてしまいます。例えるならば、AMラジオやアナログテレビのような状態であると考えていただければと思います。

③AD変換器でのデジタル化(符号化)

転送された電気信号はイメージセンサーに配置された「AD変換器(ADコンバーター)」によってデジタルデータに変換(符号化)されます。データは符号化されてしまえば外部からのノイズの影響を受けなくなります。しかし、①や②で混入してしまったノイズも同時にデジタルデータとして記録されてしまいます。

・ノイズリダクションの難しさ

このように、RAWデータにはイメージセンサー由来のノイズが多かれ少なかれ混入しています。このデータからノイズの成分だけを判別し、減算することでノイズを減らすことができるのですが、被写体とノイズの成分を分離することは非常に高度な画像処理技術が必要で、各社工夫をされています。

 


■高ISO感度撮影で広がる撮影の可能性

ここからは「高ISO感度撮影」と「優れたノイズリダクション」の組み合わせで、今までできなかったような作品づくりができるようになるというお話しをしたいと思います。

複数枚の画像を使ったノイズリダクション

1枚の写真からのノイズリダクションでは、一般的には隣接する画素情報を使用してノイズを処理してきました。その方法とは別に、近年ではデジタルカメラの連写性能や記録性能の向上に伴い、連写した複数の画像を合成することによってノイズを抑えるノイズリダクションもおこなわれています。

マルチショットによるノイズリダクション

複数の画像から同じ位置の画素情報を参照しノイズ処理に使用するため、一般的な(一枚からの)ノイズリダクションと比較してノイズ除去の効果が高いだけでなく、写真がぼやける副作用が少ないのが特徴です。むしろその処理の方法によっては解像感が向上する場合もあります。

マルチショットによるノイズリダクション作例

ノイズリダクション比較

イメージセンサーなどデバイスの進化と共に今後期待されるノイズリダクションといえるでしょう。

・マルチショットノイズリダクションを身近にした一致点検出技術

実はこの複数枚を使ったマルチショットによるノイズリダクションは、従来から天体写真などで使われていました。しかし、カメラが少しでも動いてしまうと合成が上手くいかないといった難しさがありました。

自動一致点検出技術

そこで『SILKYPIX Developer Studio Pro10』では、複数の画像の一致点を検出し自動で位置合わせをおこないながらノイズを抑える合成をおこなうことができます。手持ちでカメラが多少動いてしまった場合でもマルチショットノイズリダクションをおこなうことが可能です。合成機能の作品例と操作方法はこちらをご確認ください。

 

ブレとノイズどちらを優先すべきか

屋内のスポーツやアクティビティ、夜間のイベントなど、暗いシーンを撮影されるケースがあるかと思います。当然、明るさが足りないので、シャッタースピードが遅くなります。また、「三脚禁止」や「ストロボ禁止」の撮影場所も多く、「ブレ」が問題になってきます。

動感表現など特別な作画意図が無い限り、「ブレ」は画質の低下に繋がります。「ピントが甘い」、「レンズの解像度が低いかも」といった悩みの原因が撮影時の僅かな「手ブレ」だったということはよくあります。しかもブレは画像処理ではなかなか上手く補正することができません。

被写体ブレについて

そこでブレないシャッタースピードになるまでISO感度を上げシャッターを速く切ることで、できるだけブレを抑えた撮影をおこなうことをお勧めします。シャッタースピードが速くなると撮影も楽になりテンポよく撮影できるため、良いシーンを撮影できる可能性も高くなるのではないでしょうか?

高ISO感度撮影時のノイズはRAW現像のノイズリダクションで調整することができるので、ブレてしまった写真を仕上げるよりも高画質な写真になります。そのため、ノイズリダクション性能の高いRAW現像ソフトを使うということは、皆さんの撮影の可能性が広がるということに繋がります。

 

三脚を使ったスローシャッターか手持ち高ISO感度撮影か

例えば、下記写真のように動かない被写体であればどんなに暗いシーンでも三脚でカメラを固定しスローシャッターで撮影すれば、手ブレも被写体ブレも発生しません。そのため、あえてISO感度を上げる必要は無く低ノイズで高画質な写真を撮影することができます。

スローシャッター撮影

しかし、暗いシーンで被写体が動いていた場合には、カメラを三脚に固定しても低ISO感度ではシャッタースピードが上がらず被写体ブレを起こしてしまう可能性が高くなります。そこで、手ブレや被写体ブレしないシャッタースピードになるようにISO感度を調節し撮影をおこなうことで、手持ちでの撮影も可能となります。

夜間動体撮影

高ISO感度は「夜間動体撮影」という新しい写真の分野を可能にし、暗いシーンでの撮影をより身近なものとしました。その重要な要素になっているのがノイズリダクションなのです。また、明るい場所、特に動きの速い野鳥やスポーツなどでも高ISO感度+高速シャッターにより「被写体の瞬間を止めて見せる」写真ならではの表現の幅がより広がっています。皆さんもぜひ今までブレてしまってあきらめていたシーンの撮影に挑戦してみてはいかがでしょうか?

 


■SILKYPIXとは

SILKYPIX

SILKYPIXシリーズはデジタルカメラで撮影された「RAWデータ」を高画質に編集し、美しい写真に仕上げる事のできる純国産の「RAW現像ソフト」です。カメラメーカー各社のRAWデータ※1に対応しており、多くのプロカメラマンや写真愛好家から支持されています。また、カメラ同梱のソフトウェアとして多くのカメラメーカーからもご採用いただいております。

※1 対応カメラについては、各製品の詳細ページにてご確認ください。

▼製品紹介と基本操作方法は動画でチェック!

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